ストレスチェックの実施者と実施事務従事者の役割

生徒01

実際にストレスチェックをやるぞ!ってなったときって?
誰がその係りになるの?

先生01

指名された人がやるのでごサル。

生徒01

指名?
偉い人がやりたくないからって、新入社員を指名したりして?
『田中君、君がやりたまえ、業務命令だ、ウキッ!』みたいな?

先生02

ドラマの見すぎなのでごサル。
色々な事を決めていかなければいけないので、お前みたいなペーペーではダメなのでごサル。

先生01

できればある程度、社内で立場がある管理職についている人や人事・総務担当のなどがいいのでごサル。

生徒03

(…先生、俺のことDisった?)

なるほど、下っ端だと判断できないこともあるもんね。
俺みたいに(笑)

先生01

そうなのでごサル。
    
そして担当者の中でも計画や連絡などの係りは誰でもOK、人事に口出しできる立場の人は個人情報を扱えないという制限もあるのでごサル。

先生01

仕事と同じ、担当者をきちんと決めて、各担当者が何をする係りなのかを決めておく必要があるのでごサル。

お前の用に行き当たりばったりではダメなのでごサル。

生徒01

わかったよ!ウキー!
(先生、また俺のことDisってなくね?)

ストレスチェック制度担当者の定義と役割

ストレスチェック制度担当者とは、衛生管理者や事業場内のメンタルヘルス担当者などの事業者から指名された者のことを指します。
結果や個人情報などを扱うことはないので、事業場内の管理職や人事権を持つ管理職が指名により兼任することができます。

ストレスチェック制度担当者の役割は、ストレスチェック実施計画の策定や、産業医と委託した外部機関との連絡調整など、ストレスチェック制度が社内できちんと機能するように取り計らう役割を担っています。
そのため、ある程度、社内で権限のある社員を選ぶことが大切です。

ストレスチェックの実施計画を策定する段階でも、予算に関してや、契約行為など様々な面で融通の利く、的確な判断ができる人材が適格となります。
可能であれば、人事部長や総務部長などの管理職が適切です。
実施者
制度担当者が、人事権を持つ管理職である場合は、ストレスチェック実施後の調査票の確認や、データ入力などの取扱いはできません。

実施者の定義と役割

実施者は、以下の事業者が指名した者のことを指します。
産業医

  • 産業医などの医師
  • 保健師
  • 厚生労働大臣が定める一定の研修を修了した看護師または精神保健福祉士

当該の事業場に、産業医がいる場合は、産業医が実施者となることが望ましいとされています。
産業医とは、医師免許を有している者のうち、所定のカリキュラムの産業医学基礎研修を50単位以上修了した者、またはそれと同等以上の研修を修了し本人の申請により認定証が交付された者とされています。

また、外部機関にストレスチェックを委託し、外部の意思が実施者になった場合、複数の実施者がいることが考えられます。
その場合はそのなかから、代表者を決めて明らかにしておく必要があります。

実施者の役割は、ストレスチェックの質問票や評価方法について、専門的な立場から意見を述べることともに、ストレスチェックの結果をもとに、「高ストレス者」を選定することにあります。
また、「高ストレス者」と判断された者に対して、産業医や医師の面接指導を受けるように促すのも、実施者の大切な役割です。

その他実施者は、ストレスチェックの結果を5年間保存すること、労働基準監督署へのストレスチェック結果報告書への記名、押印をします。

産業医が実施者になれないこともある

産業医が当該事業所にいても、実施者になれないケースもあります。
それは、病院の院長が当該病院の産業医である場合、院長と産業医を兼任しています。

院長は、人事権を持っているため、産業医ではありますが、ストレスチェックの実施者にはなることができません。
その場合は、当該事業所に所属している、保健師、厚生労働大臣が定める一定の研修を修了した看護師、精神保健福祉士が望ましいとされています。

実施事務従事者の定義と役割

実施事務従事者とは、衛生管理者や、労務、総務担当者など事業者から指名された者を指します。
ストレスチェックの結果に携わることになるので、人事権を持つ管理職は実施実務従事者になることはできません

また、実施事務従事者は、ストレスチェック実施に際して、従業員の個人情報を直接取り扱うことになります。
ストレスチェックの面接
そして、「高ストレス者」に対して、医師の面接指導を受けるように促すことができるのも、実施者と実施事務従事者のみです。

そのため、実施事務従事者には、メンタルヘルス対策に精通した者が適任とされています。
一番望ましいのは、当該事業所の保健師や産業看護師です。

彼らには守秘義務が法により定められていますので、そのことを周知するだけでも、従業員が安心してストレスチェックを受検することができます。
実施事務従事者の役割は、調査票の配布や回収、個人のストレスチェックの結果の封入と配布、ストレスチェックを受検していない従業員への声かけや、
「高ストレス者」へ医師の面接指導を受けるよう促すことです。

実施者・実施事務従事者の選任

担当者を選任することは、事業者にとっては比較的、容易なことと言われています。
しかし、実施者の場合はどうでしょうか?
実施者は、事業所にメンタルヘルスに精通した産業医がいれば問題はなさそうですが、そうでない場合、誰にするか悩んでしまうでしょう。

保健師や産業看護師がいる事業所もありますが、まだまだ少ないのが現実です。
保健師がいる事業所は、保健師に実施者に選任することができます。

しかし、メンタルヘルスに精通した産業医や保健師がいない場合、ストレスチェックを実施するにあたり、面談指導を実施する産業医が必要ですのであらかじめ外部機関に委託するという方法があります。
委託サービス
この場合は、外部機関の産業医が実施者になります。
産業医はいるが面談指導ができない場合には、産業医を実施者に選任し、面談指導が必要な場合のみ産業医が連携がとれる精神指定医もしくは産業医に依頼しておくこともできます。

そして、実施事務従事者には、保健師や産業看護師が適任と言われています。
保健師や産業看護師がいない場合には、メンタルヘルスのに関する研修を受けた知識のある社員が実施事務従事者になることも。
ただし、その場合は人事権のない社員に限られます。

また、この社員に守秘義務を守るよう誓約書を記入させたとしても、ストレスチェックを受ける社員の疑念を完全に払しょくすることは難しいでしょう。
そうならないためには、実施事務従事者には、保健師や産業看護師などの専門職を選任する、もしくは外部機関に委託するのどちらかが、望ましいです。
それらを選任したうえで、衛生委員会の調査審議で、それらの人材が適切かを審議します。